第28話 子どもが問題を半分間違えたら、どうしますか
子どもが問題集を解いている。
20問中10問正解。
残り10問は間違い。
この結果を見たとき、保護者はどう感じるでしょうか。
「半分しかできていない」
「ちゃんと理解しているの?」
「もっと簡単な問題集に戻したほうがいいのでは?」
そう思うかもしれません。
でも、私は、半分間違えたという理由だけで、勉強方法を変えることはありません。
むしろ、そのあと何をするかを見ています。
■ 10月21日、19問中10問
高校2年生。
第二高校理数科。
『黄チャートⅡB』
三角関数。
19問中10問正解。
翌日。
20問中10問正解。
二日間で39問。
正解20問。
間違い19問。
ほぼ半分です。
この生徒は、初めて数学Ⅱを勉強しているわけではありません。
すでに習った内容を、もう一度解いています。
それでも、半分近く間違えました。
■ 一度習ったのに、なぜ間違えるのか
学校で習った。
参考書を読んだ。
問題を解いた。
そのときは理解できた。
でも、しばらくして同じ分野を解くと、間違える。
これは、珍しいことではありません。
人は、一度理解しただけで、すべてを覚えられるわけではありません。
特に数学では、公式を覚えていても、使い方を忘れることがあります。
解説を読めば分かる。
でも、自分一人では解けない。
こういう状態もあります。
私は、ここを区別したいと思っています。
■ 「分かる」と「解ける」は違う
子どもが問題を間違えた。
そこで解説を読む。
「ああ、分かった」
そう言う。
保護者も安心します。
でも、私は、まだ安心しません。
解説を読んで分かることと、何も見ずに解けることは違うからです。
例えば、料理です。
作り方を読めば、理解できます。
でも、何も見ずに同じ料理を作れるとは限りません。
数学も似ています。
解説を読んで理解したあと、自分で解いてみる。
そこで初めて、理解したことを使えるかどうかが分かります。
■ 間違えた問題を、どうするのか
ワカスクでは、間違えた問題を解き直すことを原則にしています。
解説を読む。
必要なら、参考書の説明へ戻る。
そして、もう一度解く。
大切なのは、答えを覚えることではありません。
なぜ、その式を使うのか。
どうして、その解き方になるのか。
自分で考えて、解けるようになることです。
ただし、今回の生徒が解き直しをどこまで徹底しているのかは、まだ確認できていません。
だから、今後の記録を見ながら判断する必要があります。
■ できない問題があると、すぐに教えたくなる
子どもが問題を解けずに困っている。
すると、大人は教えたくなります。
「ここは、この公式を使うんだよ」
「最初に、この式を作ればいいんだよ」
もちろん、説明が必要な場面もあります。
でも、毎回すぐに教えてしまうと、子どもは分からないときに自分で調べなくなるかもしれません。
ワカスクでは、まず参考書を読んでもらいます。
解説を読む。
前のページへ戻る。
例題を確認する。
自分で解決できるか試してもらいます。
それでも分からない場合は、必要な手助けをします。
■ 保護者が見てほしいのは、正答率だけではない
例えば、20問中10問正解。
そのあと、間違えた10問を解き直した。
翌日、もう一度解いて8問できた。
この場合、最初の正答率は50%でも、勉強は前へ進んでいます。
反対に、20問中18問正解。
間違えた2問は、そのまま。
できた問題だけを確認して終わる。
これでは、できなかった部分が残ります。
もちろん、18問正解できたことは評価できます。
でも、正答率だけでは、勉強の中身までは分かりません。
■ 100点を取れる問題集だけをやっても
問題集を開く。
ほとんど全部解ける。
子どもは気分がいいかもしれません。
保護者も安心するでしょう。
でも、それだけを繰り返していたら、できる問題ばかり解くことになります。
反対に、難しすぎて一問も解けない問題集も、適切とは限りません。
大切なのは、今の子どもに合った難易度です。
少し考えれば解ける。
間違えても、解説を読めば理解できる。
そして、解き直すことで、自分の力で解けるようになる。
そういう問題に取り組む時間が必要だと思っています。
■ 「何問できた?」だけでは足りない
子どもが勉強を終えたとき、
「今日は何問できた?」
と聞くことがあります。
それも悪くありません。
でも、私は、もう一つ聞いてほしいと思っています。
「間違えた問題は、どうしたの?」
解説を読んだのか。
もう一度解いたのか。
まだ分からないままなのか。
ここを聞くだけで、勉強の見方が変わります。
ただし、毎日問い詰める必要はありません。
子ども自身が、間違えた問題をどう扱うか考えられるようになることが大切です。
■ 間違いを隠さなくていい
私は、生徒に間違いを隠してほしくありません。
間違えた問題が多いからといって、叱る必要もないと思っています。
最初から全部解けるなら、その問題を勉強する必要はあまりありません。
分からない問題がある。
間違える。
そこで、何が分かっていないのかを調べる。
そして、もう一度解く。
勉強とは、その繰り返しです。
■ 半分間違えた、その次の日
高校2年生。
39問中20問正解。
間違い19問。
この19問を、どうするのか。
私は、そこを見たいと思っています。
次に同じ分野へ戻ったとき、正解が増えているのか。
以前は解けなかった問題を、自分で解けるようになっているのか。
それとも、また同じところで止まるのか。
結果によって、次の勉強方法を変えます。
■ 子どもの勉強を見るときに
問題集を開いて、赤い丸が少ない。
間違いが多い。
それを見ると、心配になるかもしれません。
でも、そこで「どうしてこんなに間違えたの」と言う前に、少しだけ見てほしいのです。
間違えたあと、何をしているのか。
自分で解説を読んでいるのか。
もう一度解こうとしているのか。
その姿勢が身についてくれば、分からない問題に出会っても、自分で勉強を進められるようになる可能性があります。
私は、それを目指しています。
大切なのは、最初から正解することではありません。
間違えた問題を、自分の力で解ける問題に変えていくことです。
子どもが問題を半分間違えたとき。
その数字だけで、勉強の良し悪しを決めない。
私は、そう考えています。
(『ちりぬるを』第28話 了)

コメント