「高校の実力」はどこで決まるのか――第一・第二・マリストを追う【第12話】数学の平均15点が30点に。これで改善したと言えるのか

第二高校とマリストの定期テストを比較する

高校の定期テストは、何のためにあるのでしょうか。

生徒が授業内容をどこまで理解したかを確認するため。

苦手な単元を見つけ、次の学習につなげるため。

私は、そう考えています。

ところが、熊本若葉スクール(ワカスク)に通う生徒の成績表を見ると、気になる数字が続いています。

数学の平均点が15点。

次の試験では30点。

別の高校でも、数学の平均点が20点台から30点台。

今回取り上げるのは、熊本マリスト学園高校と第二高校です。

学校も学年も違いますが、どちらも数学を中心に低平均の試験が続いています。

平均点が上がったから、問題は解決したのでしょうか。

私は、そうは考えていません。

1. マリスト高校――数学の平均点が約15点から30点へ

まず、マリスト高校1年生です。

前回の数学の試験では、平均点が約15点でした。

ワカスクの生徒は9点で、93位。

その後、今回の中間考査では、次の結果になりました。

科目学校平均本人得点本人順位
数学Ⅰ30点66点7位
数学A30点60点14位

※数学の順位は、特進を除く176人中。

前回の平均点が約15点だったことを考えると、今回の数学は得点しやすかったと考えられます。

本人の成績も大きく改善しました。

しかし、ここで考えたいことがあります。

平均15点が30点になったからといって、十分に理解できる試験になったとは限らない。

30点という平均点も、決して高くありません。

もし基本問題や標準問題が中心なら、生徒の理解度に問題がある可能性があります。

反対に、応用問題や難問が多いなら、試験の難易度設定に問題があるかもしれません。

どちらにしても、平均30点という結果を見て、学校は何を改善するのでしょうか。

2. マリストでは数学以外も平均点が低い

今回の中間考査は、数学だけが低かったわけではありません。

科目平均点
英語Ⅱ40点
英語55点
数学Ⅰ30点
数学A30点
歴史53点
公共61点
物理33点
古文24点
現代文34点
生物30点

10科目の平均点を単純平均すると39点です。

40点未満の科目が6科目あります。

特に、古文24点、数学Ⅰ30点、数学A30点、生物30点、物理33点という数字が気になります。

高校1年生の段階で、これだけ多くの科目が低平均になっている。

数学だけの問題ではないのです。

生徒が十分に理解できていないのか。

試験問題が難しすぎるのか。

授業の進度が速すぎるのか。

実際の問題を見なければ原因は断定できません。

しかし、これだけ低い平均点が並んでいる以上、授業と試験のあり方を検証する必要があると思います。

3. 第二高校――前回は数学の平均24点、今回も30点台の科目がある

次に、第二高校です。

ワカスクの第二高校2年生の成績では、以前の数学の定期テストで平均24点という結果がありました。

今回の中間考査は、次のようになっています。

科目今回の平均点
数学Ⅱ43.4点
数学特講37.4点
物理41.2点
化学35.6点
生物53.3点

※今回の数値は、生徒の成績表に記載された学級平均です。前回と今回では出題範囲・科目構成が異なるため、同一試験の難易度比較ではありません。

前回の数学平均24点に対し、今回も数学特講は37.4点。

化学も35.6点です。

第二高校は、入学時から高い学力を持つ生徒が集まる学科です。

その生徒たちでも、数学や理科の平均点が30点台になる。

もちろん、難しい問題を出せば平均点は下がります。

しかし、私は疑問に思います。

高校の定期テストで、ここまで難しい問題を出す必要があるのでしょうか。

大学入試に向けて難問に挑戦することは大切です。

ただし、その前に基本問題と標準問題を確実に解けるようにする必要があります。

基礎が固まっていない生徒に難問を与えても、学力が伸びるとは限りません。

4. 定期テストの平均点は60点程度が望ましいのではないか

私は、定期テストの平均点は60点程度を一つの目安にするべきだと考えています。

もちろん、全国共通の決まりではありません。

しかし、授業で扱った内容を確認する試験なら、基本問題を理解している生徒が相応の得点を取れる構成が望ましいはずです。

例えば、100点満点なら、

基本問題60点。

標準問題30点。

応用問題10点。

こうした構成であれば、基礎を身につけた生徒は成果を確認でき、上位生徒の力も測れます。

平均15点の試験では、ほとんどの生徒が十分な点数を取れません。

平均30点でも、状況は大きく変わりません。

生徒は、勉強してもできないという感覚を持つかもしれません。

一度だけならともかく、それが何度も続いたらどうなるでしょうか。

私は、生徒の学習意欲への影響を心配しています。

5. 低平均が続くと、勉強そのものが嫌になる

中学生の頃は、一生懸命に勉強していた。

高校に入ってからも、最初は頑張っていた。

しかし、定期テストでは思うように点数が取れない。

勉強しても結果が出ない。

やがて、勉強すること自体が嫌になってしまう。

そのような悪循環が起きる可能性があります。

もちろん、高校生の学習意欲が低下する原因は、定期テストだけではありません。

人間関係、生活環境、心身の状態など、さまざまな要因があります。

それでも、学校の試験が生徒の自信に与える影響は無視できないと思います。

本来、定期テストは生徒の理解度を確認し、次の学習につなげるためのものです。

生徒に何度も失敗を経験させることが、定期テストの目的ではないはずです。

6. ワカスクでは進研模試を重視している

ワカスクでは、高校生の学力を判断するとき、学校の定期テストだけでなく、進研模試などの全国模試を重視しています。

理由は単純です。

学校によって、定期テストの難易度が大きく異なるからです。

平均15点の数学で30点を取ることと、平均60点の数学で60点を取ることは、同じ意味ではありません。

また、学校の試験で高得点を取れても、全国模試で得点できるとは限りません。

反対に、学校の定期テストで苦戦していても、全国模試では十分な学力を示す生徒もいます。

そのため、ワカスクでは、大学受験に必要な内容を優先して学習計画を立てています。

第二高校2年生の二人についても、今回の中間考査では、11月の進研模試に向けた勉強を優先しました。

学校の試験範囲と大学受験で必要な内容が一致しない場合、すべてに対応することは効率的ではありません。

限られた時間を、何に使うのか。

大学受験を目標にする以上、そこは明確にする必要があります。

ただし、進級や卒業に必要な条件は確認しなければなりません。

また、今回の学習方針が成果につながったかどうかは、11月の進研模試で検証します。

7. 大学進学実績にも影響するのではないか

私が最も心配しているのは、低平均の試験が繰り返されることで、基礎学力の不足が放置されてしまうことです。

数学Ⅰが理解できていないのに数学Ⅱへ進む。

数学Ⅱが理解できていないのに数学Ⅲへ進む。

物理や化学も同じです。

基本事項が分からないまま授業が進めば、学年が上がるほど理解することが難しくなります。

その結果、大学受験に必要な学力が十分に身につかない可能性があります。

ただし、定期テストの平均点が低いことだけで、大学進学実績への影響を証明することはできません。

本当に確認するべきなのは、全国模試の成績が高校3年間でどう変化したかです。

入学時に高い学力を持っていた生徒が、卒業時にどこまで伸びているのか。

苦手科目を克服できているのか。

大学入試で必要な基礎・標準問題を解けるようになっているのか。

そして、本人が希望する大学に進めているのか。

私は、こうした数字も含めて高校の教育を評価する必要があると思っています。

8. 難しい試験を作ることと、生徒の学力を伸ばすことは違う

今回の二校の結果を振り返ります。

マリスト高校1年生では、前回の数学平均が約15点。

今回は数学Ⅰ・数学Aともに30点。

第二高校2年生理数科でも、以前の数学平均が24点。

今回も数学特講37.4点、化学35.6点という結果でした。

平均点は試験によって変わります。

それでも、低平均の科目が繰り返し現れていることは事実です。

私は、学校に難しい問題を出すなと言いたいわけではありません。

難しい問題に挑戦することは、学力を伸ばすうえで必要です。

しかし、それは基本事項を理解したうえでの話です。

定期テストで低い平均点が出たなら、なぜそうなったのかを分析する。

生徒が理解できていないなら、教え方や復習方法を見直す。

試験が難しすぎたなら、出題内容を見直す。

そして、次の試験では改善につなげる。

それが必要ではないでしょうか。

難しい試験を作ることと、生徒の学力を伸ばすことは、同じではありません。

高校の役割は、試験で生徒の序列をつけることだけではないはずです。

一人でも多くの生徒が、勉強すれば理解できる、努力すれば成長できるという経験を積むこと。

そして、その積み重ねを大学進学につなげること。

私は、そこに高校教育の大切な役割があると考えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました