第33話 「次は2か月前から始めたい」と生徒が言った
定期テストの対策は、いつから始めればよいのでしょうか。
私は、基本的には1か月あればよいと考えています。
教科書を読む。
問題集を解く。
間違えた問題を繰り返す。
これを計画的に進めれば、1か月でも十分に対策できると考えています。
ところが、ある中学生が、こんなことを言いました。
「次は、もっと早く始めたい」
本人が希望したのは、テストの約2か月前からの対策でした。
私は、その提案を受け入れました。
■ 前回の定期テストは171点
中学2年生。
9月の定期テスト。
250点満点中171点。
目標は200点です。
本人は、前回のテスト勉強を振り返って、もっと早く始めたいと考えたようです。
私は、1か月前からでよいと思っています。
しかし、本人が2か月前からやりたいと言うのであれば、試してみればよい。
そう考えました。
■ 勉強方法は、先生が全部決めるものなのか
ワカスクでは、基本的に私が勉強する教材や順番を決めています。
今、何を勉強するべきか。
どこまで進めるか。
どの問題集を使うか。
生徒の学力や志望校を考えて調整します。
でも、すべてを私が決めなければならないとは思っていません。
生徒自身が考えた勉強方法があるなら、話を聞きます。
そして、試す価値があると思えば、実際にやってもらいます。
今回の2か月対策も、その一つです。
■ 11月3日、学校ワークを解く
11月3日。
4時間勉強。
英語の学校ワーク。
2回目です。
Unit5。
①20問中16問。
②22問中19問。
③21問中13問。
まとめ問題A。
15問中7問。
まとめ問題B。
9問中8問。
まとめ問題C。
5問中5問。
Unit6。
①21問中15問。
②21問中13問。
③21問中16問。
まとめ問題A。
15問中4問。
まとめ問題B。
9問中8問。
まとめ問題C。
5問中5問。
2回目でも、かなり間違えています。
特に、Unit6のまとめ問題A。
15問中4問。
正答率26.7%。
まだ、十分にはできていません。
■ 2か月かければ、できるようになるのか
ここが、今回の実験で確かめたいことです。
1か月の対策でも、十分な結果が出るのか。
2か月前から始めることで、さらに点数が伸びるのか。
あるいは、期間を延ばしても、あまり変わらないのか。
私にも分かりません。
今回の記録を見る限り、早く始めたからといって、すべての問題ができるようになったわけではありません。
2回目でも、間違いは残っています。
ただ、テストまで時間があるので、もう一度勉強することはできます。
その時間を、本人がどう使うか。
そこが重要です。
■ 早く始めるだけでは、意味がない
私は、勉強を早く始めれば、必ず成績が上がるとは思っていません。
2か月前から始めても、途中で勉強しなくなれば意味がありません。
問題集を何度も解いても、答えだけを覚えていたら、初めて見る問題には対応できないかもしれません。
結局、大切なのは勉強の中身です。
教科書を理解しているか。
必要な知識を覚えているか。
間違えた問題を解けるようになっているか。
そして、それをテスト当日まで維持できるか。
期間だけで決まるものではありません。
■ それでも、私は今回の提案を評価している
理由は、2か月前から勉強を始めたからではありません。
自分で勉強方法を考えたからです。
前回のテストを受けた。
結果を見た。
自分の勉強を振り返った。
そして、次はもっと早く始めたいと考えた。
この過程に意味があると思っています。
先生から言われたから勉強する。
親から言われたから勉強する。
それだけではなく、自分で必要だと思って勉強する。
私は、そういう生徒を育てたいのです。
■ 失敗しても、構わない
今回の2か月対策。
結果が出るとは限りません。
もしかすると、1か月の対策と大きな違いがないかもしれません。
その場合は、なぜ違いが出なかったのかを考えればよいと思っています。
勉強する期間が長すぎたのか。
途中の復習が足りなかったのか。
勉強する科目の配分がよくなかったのか。
結果を見て、次の方法を考える。
それも勉強です。
自分で考えた方法が、最初から正しい必要はありません。
■ 保護者は、どう関わればよいのか
子どもが、
「今度は、こうやって勉強したい」
と言ったとき。
その方法が、大人の考えと違うこともあると思います。
もちろん、明らかに無理のある計画なら、修正が必要です。
でも、試してみてもよい方法なら、本人に任せることも大切ではないでしょうか。
最初から大人が正解を与えてしまえば、子どもが自分で考える機会は少なくなります。
自分で計画する。
実行する。
結果を確認する。
そして、修正する。
そういう経験を積むことも、勉強する力につながると思っています。
■ 私の考えが正しいとも限らない
私は、定期テスト対策は1か月あればよいと考えています。
これまでの指導経験から、そう判断しています。
しかし、今回の生徒には、2か月のほうが合っている可能性もあります。
それは、やってみなければ分かりません。
私の考えに生徒を合わせるだけではなく、生徒の考えも試してみる。
その結果から、私自身も学ぶことがあると思っています。
■ 11月25日、26日
次の定期テストは、11月25日、26日です。
目標は200点。
前回は171点。
29点上げる必要があります。
今回の2か月対策が、どのような結果につながるのか。
まだ分かりません。
ただ、私は点数だけでなく、本人がこの2か月をどう使ったのかも見たいと思っています。
そして、テストが終わったら、本人と一緒に振り返りたいと思っています。
■ 勉強する子は、どうやってつくられるのか
私は、勉強方法を教えることも大切だと思っています。
でも、それだけでは足りません。
自分で考える。
自分で決める。
実際にやってみる。
結果を見て、また考える。
その繰り返しが必要です。
今回、生徒が提案した2か月対策。
私は、1か月でよいと思っています。
でも、本人は2か月前から始めたいと言いました。
だから、やらせてみています。
勉強する子を育てるというのは、先生の言うとおりに勉強する子を育てることではありません。
自分で勉強の方法を考え、実行できる子を育てることです。
今回の結果がどうなるのか。
私も楽しみにしています。
(『ちりぬるを』第33話 了)

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