【ちりぬるを】――勉強する子は、どうやってつくられるのか【第31話】

第31話 4時間30分勉強して、やったのは学校のワークだった

高校2年生。

9月26日。

4時間30分勉強。

この日、取り組んだのは、

学校の課題でした。

『歴史総合』

『生物』

大学受験のために進めている数学ではありません。

英語でもありません。

4時間30分。

すべて、学校の課題です。

この記録を見て、私は少し考えました。

■ 大学受験の勉強は、いつするのか

この生徒は、大学受験に向けて数学を勉強しています。

教材は、

『黄チャートⅡB』

学校の進度とは別に、自分のペースで進めています。

ところが、学校の課題が増えると、その勉強が止まります。

9月23日。

2時間。

数学の再テスト対策。

9月24日。

1時間30分。

数学の再テスト対策。

9月26日。

4時間30分。

歴史総合と生物の学校課題。

学校の勉強が続いています。

もちろん、学校の課題をやることが悪いわけではありません。

提出物も必要です。

定期テストもあります。

でも、大学受験のための勉強時間が、学校の課題によってなくなってしまうことがあります。

■ 学校の課題を終わらせることが、勉強の目的になる

学校から課題が出る。

提出期限がある。

だから、終わらせる。

これは自然なことです。

ただ、課題を終わらせることだけが目的になると、勉強の中身が見えにくくなります。

何ページ終わった。

何時間かかった。

提出できた。

それで、勉強した気になります。

でも、その課題によって何ができるようになったのか。

そこまで考える必要があります。

■ 学校の課題にも、意味はある

私は、学校の課題を否定しているわけではありません。

歴史総合。

生物。

大学入試で必要になる知識もあります。

学校の課題を通して、理解が深まることもあります。

ただし、学校の課題が、今の本人にとって最も必要な勉強とは限りません。

例えば、数学を重点的に伸ばしたい時期。

その日に4時間30分使えるなら、数学を進めたいと考えることもあります。

でも、提出期限が近ければ、学校の課題を優先せざるを得ないことがあります。

■ 計画どおりに進まないのが、普通なのかもしれない

大学受験の勉強計画を立てる。

今月は、ここまで進める。

来月は、次の単元。

夏休みまでに、一冊終える。

そう考えます。

でも、実際には、学校の行事があります。

定期テストがあります。

課題があります。

部活動もあります。

予定どおりに進まないことは、珍しくありません。

だから、私は、計画を立てるときに、予定どおりに進まない可能性も考える必要があると思っています。

■ 9月27日、数学へ戻った

翌日。

9月27日。

5時間30分勉強。

『黄チャートⅡB』

356〜382ページ。

学校の課題から、数学へ戻りました。

私は、この記録を見て、少し安心しました。

前日は、学校の課題。

翌日は、大学受験の数学。

一度止まっても、戻ることができています。

■ 大切なのは、止まらないことではない

勉強計画を立てても、途中で止まることがあります。

学校の課題。

体調。

行事。

部活動。

いろいろな理由があります。

そのたびに、計画が崩れたと考えていたら、勉強を続けることが難しくなります。

私は、止まらないことより、止まったあとに戻れることが大切だと思っています。

■ 一日できなかったから、全部やめない

例えば、毎日英単語を覚えると決めた。

でも、ある日、できなかった。

そこで、

「もう計画が崩れた」

と考えてしまう。

そして、次の日もやらない。

こういうことがあります。

でも、一日できなかっただけで、それまでの勉強が無意味になるわけではありません。

次の日から、また始めればいい。

数学も同じです。

学校の課題で一日止まった。

だったら、翌日戻ればいい。

■ 保護者が見てほしいこと

子どもが勉強計画を立てた。

でも、予定どおりに進まなかった。

そのとき、

「どうして計画どおりにできなかったの?」

と聞きたくなるかもしれません。

もちろん、原因を考えることは大切です。

でも、それ以上に、

「次は、いつ戻るの?」

と考えることが必要だと思っています。

計画を守れなかったことだけを責めても、勉強は進みません。

次に何をするかを決める。

そして、実際に戻る。

その繰り返しです。

■ 完璧な計画は、必要なのか

私は、勉強計画を立てます。

でも、最初に立てた計画を、絶対に守らせようとは思っていません。

実際の勉強記録を見て、変更します。

予想より早く進めば、先へ進む。

思ったより難しければ、戻る。

学校の課題が増えれば、予定を調整する。

大切なのは、計画表を完成させることではありません。

勉強を進めることです。

■ 学校の勉強と、大学受験の勉強

高校生は、二つの勉強を抱えています。

学校の授業や定期テストのための勉強。

そして、大学受験のための勉強。

もちろん、重なる部分もあります。

でも、必ずしも同じではありません。

学校の課題を終わらせるだけでは、大学受験の準備が十分に進まないこともあります。

だから、両方をどう進めるか考える必要があります。

■ 4時間30分は、無駄だったのか

9月26日。

4時間30分。

学校の課題。

この時間を無駄だったとは思いません。

必要な勉強だったのでしょう。

ただし、大学受験の数学は進みませんでした。

その事実も、記録に残ります。

そして、翌日。

5時間30分。

黄チャートへ戻った。

私は、この二日間を一緒に見ています。

■ 計画が崩れたあとに、何をするか

勉強を続けていれば、予定どおりに進まない日は必ずあります。

そのとき、全部をやり直す必要はありません。

計画を捨てる必要もありません。

できなかった部分を確認して、次の日から戻る。

必要なら、計画を変える。

私は、生徒にそういう勉強の進め方を身につけてほしいと思っています。

大切なのは、崩れない計画ではなく、崩れたあとに戻れる計画です。

9月26日。

学校の課題。

4時間30分。

9月27日。

黄チャート。

5時間30分。

この二日間の記録から、そんなことを考えました。

(『ちりぬるを』第31話 了)

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