【ちりぬるを】――勉強する子は、どうやってつくられるのか【第32話】

第32話 志望校が決まったら、勉強する科目が変わった

高校2年生。

第二高校。

9月に入塾した生徒です。

志望校は、東京の有名大学。

情報や工学を学びたいと考えています。

入塾したとき、私は英語から勉強を始めてもらう予定でした。

ところが、志望校の入試方式を調べるうちに、勉強の優先順位を変える必要が出てきました。

■ 英語の偏差値は48

この生徒の進研模試。

英語の偏差値は48程度。

国語と数学は60前後です。

理系の大学を目指す生徒ですが、英語には課題があります。

そこで、まず英語を集中的に勉強する計画を考えました。

11月の進研模試まで、約2か月。

英単語と英文法を重点的に進める。

英語の基礎を固める。

その予定でした。

■ 9月21日、英語を4時間

9月21日。

4時間勉強。

『ターゲット英単語1900』

400語まで。

『ポラリス英文法1』

2周目。

英単語を覚える。

英文法の問題を解く。

間違えた問題を確認する。

英語を伸ばすための勉強を進めていました。

ところが、その後、志望校の入試方式について考える機会がありました。

■ 英語を使わない受験方式がある

志望大学には、学校推薦型選抜があります。

本人が検討している方式では、面接と共通テストの数学・理科が重要になる可能性があります。

もし、その方式で受験できるなら、英語の優先順位は変わります。

英語の偏差値を上げることよりも、数学と理科を伸ばすことが重要になるかもしれません。

ただし、推薦の出願資格や選考方法は、年度ごとの募集要項で確認する必要があります。

現時点で、推薦で受験できると決まったわけではありません。

■ 勉強する科目は、平等でなくていい

私は、すべての科目を同じ時間だけ勉強させようとは思っていません。

大学受験では、志望校によって必要な科目が違います。

同じ大学でも、入試方式によって違うことがあります。

英語が必要な方式。

数学と理科が重要な方式。

共通テストの科目数が少ない方式。

だから、まず入試科目を確認する必要があります。

そのうえで、どの科目に時間を使うのかを考えます。

■ 苦手な科目から勉強すればいいのか

英語の偏差値48。

数学は60前後。

この数字だけを見れば、英語を優先したくなります。

でも、大学受験では、苦手な科目を必ず最優先するとは限りません。

例えば、入試で英語を使わないなら、英語に多くの時間を使う必要性は下がります。

反対に、数学の配点が大きければ、数学をさらに伸ばすことが合格につながるかもしれません。

勉強の優先順位は、得意・不得意だけでは決められません。

■ ただし、英語を捨てるわけではない

この生徒は、英検2級の一次試験に合格しています。

残るのは二次試験です。

英語をまったく勉強しなくてよいわけではありません。

推薦が不成立になった場合や、一般選抜へ進む場合には、英語が必要になる可能性があります。

だから、英語の勉強を完全にやめるのではなく、最低限は続ける。

そのうえで、数学と理科へ重点を移す。

そういう考え方です。

■ 保護者が知っておきたいこと

子どもが大学を目指している。

でも、志望校の入試科目を詳しく知らない。

こういうことは、珍しくありません。

大学名は知っている。

学部も決めている。

でも、どの科目で受験するのか。

何点必要なのか。

英検を利用できるのか。

推薦と一般選抜で何が違うのか。

そこまで確認していないことがあります。

私は、勉強計画を立てる前に、こうした情報を調べることが大切だと思っています。

■ 9月26日、27日

9月26日。

数学の定期テスト対策。

9月27日。

5時間30分。

数学の定期テスト対策。

この時点では、学校のテスト勉強も必要でした。

ただ、志望校の入試方式を考えることで、今後の勉強の方向が変わってきました。

英語を中心にするのか。

数学と理科を中心にするのか。

それは、入試方式によって変わります。

■ 努力する前に、何を調べるか

私は、勉強時間を増やすことも大切だと思っています。

でも、時間には限りがあります。

高校2年生。

大学入試まで、まだ時間があるように見えます。

しかし、勉強する科目が多ければ、あっという間です。

だからこそ、何を勉強するかを決める必要があります。

入試で使わない科目に、必要以上の時間を使っていないか。

重要な科目を、後回しにしていないか。

そこを確認するだけでも、勉強計画は変わります。

■ 志望校が決まることの意味

志望校が決まる。

それは、単に目標ができることではありません。

必要な科目が分かる。

必要な点数が分かる。

残された時間が分かる。

そして、今やるべき勉強が見えてきます。

私は、志望校を早めに考えることには、こういう意味があると思っています。

■ 何を頑張るかを、間違えない

英語の偏差値48。

だから、英語を頑張る。

最初は、そう考えました。

でも、志望校の入試方式によっては、数学と理科を優先したほうがよいかもしれません。

まだ、最終的な受験方式は決まっていません。

だから、今後も情報を確認しながら、勉強計画を調整します。

保護者の方にも、ぜひ知っておいてほしいと思っています。

勉強は、ただ長時間頑張ればいいわけではありません。

何のために、何を勉強するのか。

それを決めることも、受験勉強の大切な一部です。

(『ちりぬるを』第32話 了)

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