【ちりぬるを】――勉強する子は、どうやってつくられるのか【第22話】

 400語で386問正解。それでも、私はまだ信用しない

高校1年生。

英単語を、

やっています。

教材は、

『ターゲット1900』。

9月11日。

1番から200番まで。

口頭テストをしました。

1〜50。

50問中50問。

51〜100。

50問中48問。

101〜150。

50問中50問。

151〜200。

50問中44問。

合計。

200問中192問。

96%。

かなり高い。

そして、

9月13日。

今度は、

201番から400番。

201〜250。

50問中47問。

251〜300。

50問中50問。

301〜350。

50問中48問。

351〜400。

50問中49問。

合計。

200問中194問。

二日分を合わせると、

400問中386問。

96.5%。

数字だけを見ると、

かなり覚えています。

でも、

私は、

まだ信用していません。

■ テストの直前に、覚えている

この口頭テストには、

一つ、

大きな条件があります。

テストをする前に、

本人は、

その範囲を勉強しています。

200語。

見直す。

覚える。

そのあと、

口頭テスト。

つまり、

これは、

かなり直後のテストです。

覚えた直後なら、

答えられる。

それは、

当然と言えば、

当然です。

■ では、一週間後は?

問題は、

こちらです。

今日、

50問中50問。

では、

一週間後。

同じ50語を、

突然聞いたら、

どうなるのか。

一か月後。

400語の中から、

ランダムに聞いたら。

そこで、

同じように答えられるのか。

私は、

こちらを見たい。

■ 「覚えた」と「残った」は違う

英単語だけではありません。

理科。

社会。

英文法。

数学の公式。

直前にやれば、

できます。

でも、

数日後には、

抜ける。

テスト前に、

一気に覚える。

テストが終わる。

忘れる。

これを繰り返すと、

その場では点が取れても、

受験のときには、

また最初からになります。

■ 以前、口頭で聞いたら半分くらいだった

この生徒に、

以前、

単語帳の一ページを、

口頭だけで聞いたことがあります。

文字は見せません。

私が、

英単語を言う。

本人が、

日本語を答える。

すると、

思ったより、

答えられませんでした。

だいたい、

半分くらい。

単語帳を見れば、

分かる。

でも、

音だけになると、

出てこない。

■ 同じ単語でも、測り方で変わる

英単語を、

見せる。

意味を答える。

英単語を、

聞かせる。

意味を答える。

日本語を言う。

英語を答える。

文章の中で、

意味を取る。

全部、

少し違います。

だから、

「この単語を覚えた」

という一言だけでは、

本当は、

かなり曖昧です。

■ 96.5%でも、測定方法が悪ければ意味がない

400問中386問。

この数字だけを、

保護者へ見せれば、

かなり安心すると思います。

「ほとんど覚えています」

そう言えます。

でも、

テストの直前に、

その範囲を覚えた。

その直後に、

同じ範囲を聞いた。

それなら、

96.5%でも、

不思議ではありません。

むしろ、

問題は、

ここからです。

■ 次は、予告しない

今度は、

直前に、

その範囲を勉強させない。

1番から400番。

あるいは、

1番から600番。

その中から、

ランダムに聞く。

ページも、

ばらす。

順番も、

ばらす。

そこで、

何問答えられるのか。

■ 「できない」を見つけるためのテスト

テストというと、

高い点を取るためのものに見えます。

でも、

塾でやる小テストは、

高い点を取ることが目的ではありません。

どこが、

残っていないのか。

どこが、

曖昧なのか。

それを、

見つけるためにやります。

だから、

私は、

50問中50問より、

突然聞いて、

50問中35問だったほうが、

役に立つこともあると思っています。

■ 数字が高いほど、疑う

これは、

少し変かもしれません。

10問中3問。

これは、

分かりやすい。

できていません。

でも、

10問中10問。

50問中50問。

400問中386問。

こういう数字を見ると、

逆に、

私は、

測り方を確認します。

いつ覚えたのか。

何回目なのか。

直前に見ていないか。

順番通りではないか。

本当に、

長期記憶に入っているのか。

■ 生徒ではなく、テストのほうが間違っていることもある

生徒が、

50問中25問しか答えられない。

普通なら、

「覚えていない」

と判断します。

でも、

もし、

テストの方法が、

普段の学習と全く違っていたら。

文字では覚えている。

でも、

突然、

音だけで聞かれた。

その場合、

単純に、

「英単語を半分しか覚えていない」

とは言えません。

測り方が、

違うだけかもしれない。

逆もあります。

直後テストで、

50問中50問。

でも、

一週間後には、

半分。

それなら、

最初の50/50を、

そのまま実力とは呼べません。

■ 測定方法を知らなければ、生徒の96.5%も判断できない

私は、

毎日、

正答数を記録しています。

何問中何問。

何ページ。

何時間。

でも、

数字だけ残しても、

足りないことがあります。

どんな条件で、

その数字が出たのか。

ここまで、

見ないと、

判断を間違えます。

9月11日。

192/200。

9月13日。

194/200。

合計。

386/400。

96.5%。

今のところ、

この数字は、

「直後なら、かなり答えられる」

という記録です。

「400語を完全に覚えた」

という記録ではありません。

次は、

時間を空けます。

範囲を広げます。

ランダムにします。

そこで、

どれだけ残るのか。

400問中386問。

かなりいい数字です。

だからこそ、

もう一度、

疑ってみます。

(『ちりぬるを』第22話 了)

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