【ちりぬるを】――勉強する子は、どうやってつくられるのか【第16話】

第16話 学校順位ではなく、全国共通の物差しを置いてみる

平均24点。

平均20点。

前回、

二つの高校の数学定期テストについて書きました。

同じ100点満点でも、

学校が違えば、

意味はまったく違います。

では、

私は一体、

何を見ればいいのでしょう。

学校順位。

定期テスト。

模試。

偏差値。

大学入試。

いろいろあります。

その中で、

最近、

高校2年生たちに一つの物差しを置くことにしました。

英検です。

■ 学校が違うと、比較できない

ワカスクには、

いくつかの高校から生徒が来ています。

学校によって、

授業進度が違う。

定期テストの難易度も違う。

平均点も違う。

同じ50点でも、

意味が違います。

校内順位も同じです。

50番。

100番。

200番。

数字だけ見ても、

学校そのものが違えば、

単純には比べられません。

私は、

この問題をずっと感じていました。

ワカスクでやっている学習が、

本当に英語力を上げているのか。

学校のテストだけでは、

判断しにくい。

■ ならば、同じ試験を受ければいい

学校が違う。

教材も違う。

進度も違う。

だったら、

同じ試験を受けてもらう。

とても単純です。

英検なら、

学校は関係ありません。

第二高校でも、

マリストでも、

東稜でも、

同じ級を受ける。

同じ基準で、

結果が出る。

ここで初めて、

学校の外へ出られます。

■ 高校2年生に、英検を受けてもらう

今、

高校2年生たちに、

英検を受けてもらおうと考えています。

理由は、

「資格があったほうがいいから」

だけではありません。

大学入試で、

英検を利用できる大学があります。

出願要件になる場合もある。

級によって、

英語を得点換算する方式もある。

だから、

受験戦略としても意味があります。

でも、

『ちりぬるを』という実験では、

もう一つ意味があります。

これまでやってきた英語学習が、本当に外でも通用するのか。

それを測れるからです。

■ ワカスクの英語は、かなり変わっているかもしれない

ワカスクでは、

英単語をかなり速く回します。

100語を完全に覚えるまで、

次へ行かない。

そういうやり方ではありません。

大量に進む。

忘れる。

戻る。

また進む。

高校生になると、

『ターゲット1900』を、

何度も往復する子が出てきます。

文法も、

一問ずつ完璧にしてから進むというより、

まず一冊を通す。

そのあと、

また戻る。

第6話から書いてきた、

進む、忘れる、戻る

という方法です。

教室の中では、

確かに変化が見えます。

単語を進める速度が上がる。

英文法の問題を解く量が増える。

長文へ進む。

でも、

それだけでは、

まだ内輪の評価です。

■ 「1500語やりました」は成果ではない

これは、

私自身が気をつけなければならないところです。

ターゲットを1500語まで進んだ。

1900語を一周した。

ポラリスを終えた。

英文解釈を一冊やった。

それは、

学習記録です。

成果とは限りません。

極端に言えば、

ページをめくれば、

一冊は終わります。

だから、

教材の進捗だけを見て、

「英語が伸びた」

とは言えない。

外で測らなければならない。

■ そこで英検を置く

英検を受ける。

受かる。

落ちる。

スコアが出る。

語彙。

読解。

リスニング。

ライティング。

そこで、

今まで見えなかった穴が出ます。

もし、

大量に英単語を回した子が、

語彙で取れない。

それなら、

方法を疑わなければなりません。

文法問題集を何冊も進めたのに、

文章が読めない。

それも、

考え直す必要があります。

逆に、

学校の英語テストでは目立たなかった子が、

英検では取れるかもしれない。

それなら、

学校の点数だけでは見えていなかった力がある。

どちらに転んでも、

データになります。

■ 合格者だけ載せるのでは、実験にならない

塾の広告なら、

「英検○級合格!」

と載せればいい。

もちろん、

合格したら私もうれしい。

でも、

この連載でそれだけをやったら、

意味がありません。

受けた人数。

合格した人数。

落ちた人数。

どのくらい勉強していたのか。

どこまで教材を進めていたのか。

できれば、

そこまで見たい。

10人受けて、

2人合格。

それなら、

「ワカスク式で英検に強くなる」

とは言えません。

10人受けて、

8人、9人と同じような変化が出る。

そこで初めて、

再現性の話ができます。

■ 落ちた子のほうが重要かもしれない

実験として考えると、

むしろ、

落ちた子が重要です。

なぜ落ちたのか。

単語が足りなかったのか。

読む速度なのか。

リスニングなのか。

ライティングなのか。

勉強時間なのか。

そもそも、

教材の選び方が間違っていたのか。

合格者だけを見ていると、

方法の弱点は分かりません。

うまくいかなかった子を説明できて初めて、方法になる。

これは、

この連載で大事にしたいと思っています。

■ 英検はゴールではない

もちろん、

英検準1級を取ったから、

大学受験が終わるわけではありません。

英検2級を持っているから、

英語が完成したわけでもない。

英検には、

英検の問題形式があります。

大学入試には、

大学入試の問題があります。

だから、

英検そのものを目的にはしたくありません。

ただ、

途中に置く物差しとしては、

使える。

学校の外で、

同じ条件で測れるからです。

■ 「学校で何番」から、一度離れてみる

高校生は、

学校順位を気にします。

保護者も、

私も気になります。

15番。

50番。

100番。

200番。

数字は、

分かりやすい。

でも、

その順位は、

その学校の中だけの順位です。

大学受験では、

学校の外へ出ます。

熊本の外へも出ます。

九州の外へも出ます。

全国の受験生と、

同じ問題を解きます。

だから、

高校1年、高校2年のうちから、

少しずつ、

学校の外の物差しを置いておきたい。

英検も、

その一つです。

■ もし結果が出なかったら

ここが、

一番楽しみでもあり、

怖いところです。

これまで、

ワカスクでは、

英単語を大量に回してきました。

文法も進めてきました。

かなり速い生徒なら、

学校よりずっと先へ行っています。

私は、

この方法に手応えを感じています。

でも、

英検を受けて、

思ったほど結果が出なかったら。

そのときは、

方法を変えなければなりません。

単語の回し方を変えるのか。

長文を増やすのか。

リスニングを早く入れるのか。

英作文をもっとやるのか。

結果に合わせて、方法を変える。

第10話で書いたように、

現実を文章に合わせるのではなく、

文章を現実に合わせる。

それが、

この実験です。

■ 同じ物差しを置いたら、何が見えるのか

第二高校の生徒。

マリストの生徒。

東稜の生徒。

学校では、

違う順位です。

違うテストを受けています。

違う授業を受けています。

でも、

同じ英検を受けたら、

どうなるのでしょう。

学校の順位通りになるのか。

全く違う結果になるのか。

ワカスクで英単語を大量に回した期間と、

スコアには関係があるのか。

勉強時間との関係は。

そこまで記録できれば、

少し面白くなります。

「この子は英語が得意です」

ではなく、

何を、どれだけやった子が、どこまで届いたのか。

そこまで書けるからです。

英検の申込書は、

ただの受験申込書ではありません。

私にとっては、

ワカスクの英語学習を、

学校の外へ持ち出すための、

最初の測定器です。

合格でも、

不合格でもいい。

数字が出れば、

次へ進めます。

今度は、

こちらが試される番です。

(『ちりぬるを』第16話 了)

コメント

タイトルとURLをコピーしました