高校の成績表を見るとき、多くの人は点数や順位に注目します。
数学が9点。
物理が6点。
化学が5点。
こうした数字を見ると、勉強ができない生徒だと思われるかもしれません。
しかし、私はそう簡単には判断しません。
なぜなら、定期テストの点数には、本人の学力以外にもさまざまな要因が関係しているからです。
試験問題の難易度。
出題範囲。
試験に向けた準備時間。
そして、その生徒が何を目標に勉強しているのか。
今回は、ワカスクの生徒たちの実際の成績から考えてみます。
1. 数学9点だった生徒が、次の試験では7位になった
マリスト高校1年生の生徒です。
以前の数学の定期テストでは、9点でした。
学校平均は約15点。
順位は93位でした。
ところが、今回の中間考査では、大きく結果が変わりました。
| 科目 | 得点 | 平均点 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 数学Ⅰ | 66点 | 30点 | 7位 |
| 数学A | 60点 | 30点 | 14位 |
※数学の順位は、特進を除く176人中です。
前回は9点。
今回は数学Ⅰ66点、数学A60点。
しかも、数学Ⅰでは7位です。
この結果を見て、私は改めて思いました。
一度の定期テストの点数だけで、その生徒の能力を判断してはいけない。
前回の9点は、確かに低い点数です。
しかし、今回の結果を見ると、数学で上位に入る力を示しています。
もちろん、前回と今回では試験範囲も難易度も異なります。
そのため、9点から66点になったことを、そのまま学力の伸びとして計算することはできません。
それでも、前回の9点だけを見て「数学ができない生徒」と決めつけることが適切でないのは明らかです。
2. 平均点が違えば、同じ得点でも意味が変わる
例えば、数学で30点を取ったとします。
学校平均が15点なら、平均の2倍です。
学校平均が60点なら、平均の半分です。
同じ30点でも、周囲との位置は大きく異なります。
ただし、平均点だけで順位や学力を正確に判断できるわけではありません。
得点分布や問題の難易度も関係するからです。
それでも、学校平均を確認せずに本人の得点だけを見ることは、危険だと思います。
マリスト高校1年生の今回の数学は、数学Ⅰ・数学Aともに平均30点。
この生徒は66点と60点を取っています。
得点だけを見れば満点には遠いですが、学校内では上位です。
このような結果を見ると、学校の成績表には、本人の得点だけでなく、試験全体の難易度を考える視点が必要だと感じます。
3. 第二高校では、物理6点、化学5点という結果もあった
次に、第二高校2年生の生徒二人です。
今回の中間考査では、一人が物理6点、もう一人が化学5点でした。
かなり低い点数です。
しかし、この二人については、重要な事情があります。
二人とも、学校の中間考査に向けた勉強をほとんどしていませんでした。
ワカスクでは、11月の進研模試を目標に勉強を進めていたからです。
学校の試験があると聞いたのも、前日でした。
つまり、試験範囲に合わせた準備をしないまま受験しています。
この結果を見て、単純に「物理ができない」「化学ができない」と判断することはできません。
もちろん、6点や5点という結果から、今回の試験範囲に対する理解不足が疑われる部分もあります。
しかし、それが大学受験に必要な範囲全体の学力を示しているわけではありません。
実際にどれだけ力がついているかは、取り組んでいる教材の正答率や、全国模試の結果を確認する必要があります。
4. なぜワカスクは定期テストより進研模試を重視するのか
理由は、大学受験から逆算して学習計画を立てているからです。
高校2年生の段階では、志望大学によって必要な科目が大きく違います。
数学Ⅲまで必要な大学。
数学Ⅱ・B・Cまでで受験できる大学。
物理を使う大学。
生物を使う大学。
英語の外部検定を利用できる大学。
同じ高校に通っていても、生徒ごとに優先すべき勉強は違います。
ところが、学校の定期テストでは、受験に使わない科目も同じように出題されます。
すべての科目で高得点を目指せば、大学受験に必要な勉強時間が不足する場合があります。
そこでワカスクでは、志望大学の入試科目と必要な学力を確認し、優先順位を決めています。
もちろん、学校の単位認定や進級・卒業に必要な条件は満たすことが前提です。
そのうえで、限られた時間をどの科目に使うかを考えています。
学校の定期テストで高得点を取ることと、志望大学に合格することは、必ずしも同じ勉強ではありません。
5. 定期テストで上位でも、大学受験で通用するとは限らない
反対の問題もあります。
学校の定期テストでは、毎回上位に入っている。
しかし、全国模試では思うように得点できない。
このような生徒もいます。
学校の定期テストは、出題範囲が限られています。
学校ワークや授業プリントを繰り返せば、得点できる場合もあります。
一方、進研模試などの全国模試では、より広い範囲から出題され、初めて見る問題に対応する力も必要です。
もちろん、進研模試だけで大学入試の実力を完全に測れるわけではありません。
志望大学の過去問や、共通テスト形式の問題でも確認する必要があります。
ただし、学校ごとに試験問題が異なる定期テストと比べれば、全国模試は学力の位置を確認するための共通の物差しになります。
私は、学校内で何位かという数字より、全国でどれだけ通用するかを重視しています。
6. 本当に見るべきなのは、点数ではなく学習の中身
数学で9点を取った生徒。
物理で6点を取った生徒。
化学で5点を取った生徒。
数字だけを並べれば、学力に大きな問題があるように見えます。
しかし、指導する立場では、そこから先を確認しなければなりません。
どの単元が理解できていないのか。
基本問題は解けるのか。
応用問題でつまずいているのか。
そもそも、その試験範囲を勉強していたのか。
そして、大学受験では何が必要なのか。
これらを確認して、初めて適切な学習計画を立てることができます。
例えば、数学の基礎問題が解けないなら、基礎からやり直す必要があります。
一方、基礎・標準問題は解けるのに、学校の難問で失点しているのであれば、大学受験の目標に応じて対応を考えればよいのです。
同じ30点でも、必要な指導は生徒によって違います。
7. 高校の成績表を見て、勉強を諦めないでほしい
今回の記事で、最も伝えたいことがあります。
高校の定期テストで低い点数を取ったからといって、その生徒の大学受験が終わったわけではありません。
一度の試験結果で、学力の限界が決まるわけでもありません。
マリスト高校1年生の生徒は、前回9点だった数学で、今回は7位になりました。
この結果だけで大学受験の実力まで証明されたわけではありませんが、少なくとも、前回の9点がすべてではなかったことは分かります。
大切なのは、次に何を勉強するかです。
今の学力を確認する。
志望大学に必要な科目を決める。
教材の難易度を合わせる。
一問ずつ理解を積み重ねる。
そして、全国模試や過去問で成果を確認する。
私は、こうした勉強の方が、学校の順位だけを追いかけるよりも、大学合格に結びつきやすいと考えています。
8. 学校の成績と、大学受験の実力は分けて考える
学校の定期テストには、授業内容の理解を確認するという大切な役割があります。
しかし、その点数が生徒の学力のすべてを示すわけではありません。
特に、平均点が15点や30点という試験では、本人の得点だけを見ても判断できないことが多くあります。
ワカスクでは、学校の定期テストを無視してよいと言いたいわけではありません。
ただ、大学合格という目標に対して、どの勉強が必要なのかを見失わないことを大切にしています。
学校の試験で低い点数を取っても、そこで諦める必要はありません。
反対に、学校で上位だからといって安心することもできません。
大切なのは、今の自分が何を理解していて、何ができないのかを正確に知ることです。
そして、志望大学に向けて必要な勉強を続けることです。
高校の成績表は、学力を考えるための資料の一つです。生徒の可能性を決めるものではありません。
ワカスクでは、これからも一回の試験結果だけで判断せず、一人ひとりの学習内容と成長を見ながら指導していきます。

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