【熊本からの大学受験】合格へのグランドデザイン①〜他人の戦略を真似するな〜【いろはにほへと:第44回】

​内申点の正体を見極め、模試を「診断書」として読む目を手に入れたあなたに、ここから始まる具体編・実践編の幕開けとして、私は一つの残酷な、しかし極めて本質的な「事実」を告げなければならない。

この世に、すべての受験生に通用する「必勝法」など存在しない。

​巷にあふれる「こうすれば熊高に受かる」「この参考書をやれば大逆転できる」といった魅力的なキャッチコピーをそのまま真似することは、我が子を遭難させる最も確実なルートである。

なぜなら、目指す山が同じであっても、我が子が今立っている現在地と、持っている装備(武器)は、一人ひとり全く異なるからだ。

​今日から私たちが始めるのは、誰かが作った既製品のノウハウを覚えることではない。

世界に一つしかない、「我が家だけのオーダーメイドの戦略」を設計することだ。

​■ 合格者は同じ山に登るが、ルートは全員違う

​熊本の高校受験という戦場において、受験生のタイプは綺麗に一括りにできるものではない。前シリーズで手に入れたデータを使い、いくつかの「リアルな現場のケース」を分析してみよう。

  • ケースA:内申が強く、本番(初見の応用問題)に弱い子 中1からコツコツと提出物を出し、定期テストの寝技で高い内申点をもぎ取ってきた生徒。この子の勝ち筋は、一発逆転の奇跡を狙うことではない。入試本番で「周囲が絶対に落とさない基礎・標準問題」を1点のミスもなく確実に仕留め、持ち前の内申の貯金を守り切る【失点防止・逃げ切り戦略】が正解になる。
  • ケースB:内申が壊滅的で、学力(模試の偏差値)が高い子 学校の提出物はサボりがちで内申点はボロボロ。しかし、地頭が良く模試では高得点を叩き出す生徒。この子がケースAと同じ「手堅い勉強」をしていては、内申の不利を跳ね返せない。この子のルートは、入試当日の学力試験で上位5%の圧倒的なスコアを叩き出し、内申の壁を力づくで粉砕する【本番特化・強襲戦略】の一択となる。
  • ケースC:英数は抜群にできるが、理社が壊滅している子 あるいは逆に、理社は暗記で取れるが英数でパニックになる子。それぞれ、残された時間で「どこにテコ入れすれば最もコスパ良く点数が跳ね上がるか」の配分は、180度異なる。

​これほどまでに個人の条件が違う中で、「みんながやっているから」と他人の登山ルートを真似することに、一体何の意味があるのだろうか。

​■ 受験ノウハウの消費者から、我が家の戦略家へ

​ここで、私は塾長としての強い「意見」を述べたい。

​私は、巷の受験本が「これをやれば合格できる」と一様な正解を提示し、読者を思考停止に追い込んでいる現状を、激しく批判する。

それは読者を「情報の消費者」に留め、自分の人生の主導権を他人に委ねさせる行為にほかならない。

​本書があなたと交わした約束は、「人生のハンドルを握る」ということだったはずだ。

​ならば、このシリーズであなたにやってもらうことは、私の言う通りに勉強させることではない。

前シリーズで手に入れた我が子の通知表、模試の教科別データ、定期テストの推移――それらのカードをリビングの机の上にすべて並べ、「うちの子の持ち味と弱点は何か。どこを突けば、この総合格闘技で勝ち筋が見えるか」を、あなた自身が冷徹に企むことだ。

​「熊高に受かる方法を教えてください」という受け身の被害者の問いは、もう捨てよう。

これからは、「我が子のこのデータから逆算すると、このルートを攻めるのが最も合理的だ」と語る、冷徹な戦略家の視点で戦場を見下ろすのだ。

​正解の神話は、ここにはない。

あるのは、我が子のリアルな数字と、それを最大化するための知略だけだ。

​では、あなたの手元にあるそのデータを元に、具体的に「我が家だけの戦略」をどう描き、どう実行に移していくのか。その具体的な設計図(グランドデザイン)の引き方について、一歩目を踏み出そう。

​次回、

【合格へのグランドデザイン②】〜タイプ別・熊本受験の勝ち筋〜

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