【熊本からの大学受験】内申点という魔物③〜中3からでは遅いのか〜【いろはにほへと:第41回】

​「中1、中2のとき、もっと学校のワークを真面目にやらせておけばよかった」

「もう中3の夏前なのに、内申点がガタガタです。今からではもう遅いでしょうか」

​面談室で、絞り出すようにこう吐露される親御さんは少なくない。

過去の後悔に囚われ、我が子の受験の可能性がすでに閉ざされてしまったのではないかと、不安で夜も眠れないという。

​この「中3からでは遅いのか」という問いに対して、私は塾長として、気休めの嘘を言うつもりはない。

​答えは、単純ではない。「何に対して遅いのか」によるからだ。

​もし、あなたが「中1の最初の定期テストからずっと『5』を並べてきたトップ層の子と、全く同じ内申点の条件になれるか」という意味で聞いているのなら、答えは明確にノーだ。

時間は戻らない。中1・中2の通知表に押されたスタンプを、今から書き換える魔法など存在しない。そこは冷徹に、認めなければならない「事実」だ。

​しかし、もしあなたが「今持っている持ち点(過去の内申)を前提とした上で、ここから残された戦場で点数を積み上げ、行ける高校の選択肢を広げ、合格を勝ち取ることができるか」という意味で聞いているのなら、答えは圧倒的なイエスだ。

​■ 受験で勝つ子は、「もう終わった配点」を数えない

​ここで、第1回で提示した「総合格闘技」という地図を思い出してほしい。

熊本の高校受験という競技において、合否を決めるトータルの配点のうち、すでに確定してしまって動かせない「過去の配点」はどれくらいあるだろうか。

​確かに、中1・中2の内申点はもう決まった。

しかし、この総合格闘技のリングには、まだゴングすら鳴っていない競技が大量に残されている。

  • 中1・中2の通知表 ➔ 【終了】取り返せない
  • 中3のこれからの評定 ➔ 【これから】まだ取れる
  • 学校の実力テスト ➔ 【これから】ここから伸ばせる
  • 毎月の模試 ➔ 【これから】ここから伸ばせる
  • 入試当日の学力試験 ➔ 【これから】最も大きな配点であり、最も伸ばせる

​多くの親子が受験を前にして立ちすくむのは、すでに終わってゼロにすることもできない「過去の失点」ばかりを数えて、目の前で幽霊のように膨らませているからだ。

​はっきりと一言で言おう。

受験で勝つ子は、「もう終わった配点」を数えない。残された配点だけを見る。

​変えられない過去を悔やむ1時間があるなら、中3の後期に「4」を「5」に変えるための提出物の出し方を徹底する。入試当日にあと20点上乗せするための、数学の証明問題のバグを修正する。

その冷徹な割り切り(ハック)ができるかどうか。そこが、被害者と戦略家の分かれ道だ。

​■ 過去を悔やむ競技ではない

​受験とは、過去の行いを反省して罰せられるための裁判ではない。

今ここにある自分の武器を点検し、残された得点をどう泥臭く積み上げるかという、未来へ向けた知略の競技だ。

​だから、中3の通知表を見て絶望し、ハンドルを手放すのはあまりにも早い。

やるべきことは、残された戦場で1点でも多くもぎ取るための、客観的な現在地の把握だ。

​そして、その「今、自分は残された配点をどれだけ取れる実力があるのか」を教えてくれる、具体編における最大の戦場であり、最強の羅針盤となる競技。

それこそが、多くの熊本の受験生が毎月向き合うことになる「模試」である。

​内申点という不確実な魔物の正体を見据えた私たちは、いよいよ、この総合格闘技を勝ち抜くためのもう一つの絶対的な指標へと、歩みを進めることにしよう。

​次回、

【内申点という魔物④】〜県模試という羅針盤〜

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