「高校の実力」はどこで決まるのか――第一・第二・マリストを追う【第4章】平均24点の数学

第二高校の定期テストは、何を測っているのか

前回、現在の第二高校2年生が、全国模試ではかなり強い集団であることを書きました。

2026年7月の進研模試では、

全国平均 98.0点

熊本県平均 98.2点

第二高校平均 117.0点

国語・数学・英語の3科目で、第二高校は全国平均を19点上回っています。

校内順位を見ても、

50位 全国偏差値62.4

108位 全国偏差値58.5

245位 全国偏差値51.7

約400人いる学年の200位台でも、全国平均を上回る生徒がいます。

ここまで見ると、第二高校高2はかなり強い。

ところが、学校の定期テストを見ると、まったく違う景色が現れます。

数学の平均点は、

24点。

100点満点です。

最初にこの数字を聞いたとき、私はかなり驚きました。

全国模試でこれだけ強い学校なのに、なぜ数学の定期テストでは平均24点になるのでしょうか。

全国偏差値63.2の生徒でも52点

前回登場したAを見てみます。

Aは高校入試で194点。

高2・7月進研模試では、数学が

全国偏差値63.2

校内53位

でした。

約400人の中で53位です。

全国で見ても十分に数学が得意な生徒です。

そのAが、今回の定期テストでは、

52点。

校内順位は38位でした。

平均24点のテストですから、52点は校内では非常に高い。

しかし普通の感覚で答案だけを見れば、

「52点しか取れていない」

と感じるかもしれません。

ところが全国模試に出せば偏差値63.2。

ここに、定期テストを見るときの大きな落とし穴があります。

全国偏差値62.4でも24点

さらに興味深いのがBです。

Bは高2・7月進研模試で、

国数英155/300

全国偏差値62.4

校内50位

でした。

そのBの数学定期テストは、

24点。

ちょうど学校平均です。

全国模試では3科目50位の生徒が、学校の数学では平均点。

もちろん3科目総合と数学1科目なので、そのまま比較することはできません。

それでも、

「定期テスト24点=数学がほとんどできない生徒」

とは判断できないことは分かります。

Aの52点も同じです。

第二高校の中では非常に高い。

数字の意味は、そのテストの難易度によってまったく変わります。

18点でも全国では平均を超えている

Cは今回の数学定期テストで、

18点

でした。

学校平均24点を下回っています。

ところがCの高2・7月進研模試は、

国数英全国偏差値51.7

校内245位

です。

数学単独でも全国偏差値53.6でした。

つまり数学18点の生徒が、全国模試の数学では全国平均を超えています。

ここまで来ると、

「第二高校の生徒の数学力が低いから平均24点になった」

とは考えにくくなります。

テストそのものが相当に難しいと考える方が自然です。

では、平均24点のテストは悪いのか

ここは慎重に考えなければなりません。

平均24点だから、悪いテスト。

そう単純には言えません。

大学入試では、学校の教科書レベルだけでは対応できない問題も出題されます。

高校2年の段階から難しい問題に触れさせ、

「大学入試ではここまで考えなければならない」

という到達点を示す。

そういう目的なら、難しい定期テストにも意味があります。

実際、第二高校高2は全国模試で結果を出しています。

したがって、

第二高校の定期テストが難しい

だから第二高校の教育は悪い

とは言えません。

むしろ現在の高2だけを見るなら、

難しい定期テストを行っていても、全国学力は高い

というのが確認できる事実です。

しかし、別の疑問があります。

定期テストの役割は何なのか

定期テストには、本来いくつかの役割があります。

授業内容を理解したか。

基本問題を解けるようになったか。

一定期間の学習内容が定着したか。

そして、次にどこを復習すべきなのか。

平均点が50~60点程度なら、生徒の理解度をかなり細かく見ることができます。

80点の生徒。

60点の生徒。

40点の生徒。

20点の生徒。

それぞれ違う課題が見えます。

ところが平均24点になると、多くの生徒が低得点帯に集まります。

すると、

「どこまで理解できたのか」を測るテスト

というより、

「難しい問題をどこまで突破できるか」を測るテスト

という性格が強くなります。

それ自体が悪いわけではありません。

問題は、

その役割を定期テストに持たせる必要があるのか

です。

私が知っていた熊高は違った

ここで、私自身が以前から気になっていることがあります。

熊本高校です。

私がこれまで聞いてきた範囲では、熊高の定期テストは、第二高校のように平均20点台になることを前提としたものではありません。

最近も熊高の生徒から、

「数学で悪い人でも70点付近」

という話を聞きました。

ただし、これは正式に公表された平均点ではありません。

一人の生徒から聞いた話なので、熊高全体の平均が70点だという意味ではありません。

ここは今後、実際の問題や平均点が手に入れば検証したいと思っています。

ただ、以前から私が知っている熊高のテストには、別の特徴がありました。

定期テストでは、ある程度点数を取らせる。

一方、高3になって大学入試型の校内模試を行えば、

平均20点程度

になることもある。

もしこの役割分担が現在も残っているなら、非常に合理的です。

定期テストでは、授業内容の定着を確認する。

入試型模試では、難しい問題を使って実戦力を測る。

二つのテストの目的が違うからです。

「難しいテストを出す」ことと「難しい問題を解けるようにする」こと

ここは、この連載で今後何度も出てくるテーマになります。

難しい問題を定期テストに出すことは簡単です。

しかし、

生徒を難しい問題が解ける状態まで育てること

は別です。

第二高校高2については、全国模試で学校平均が全国を約19点上回っています。

だから少なくとも、

「難しいテストをしているだけで、生徒は全国では弱い」

とは言えません。

現在の高2は実際に強い。

では、平均24点というテストが、その強さを作ったのでしょうか。

それとも、もともと学力の高い生徒が集まっているから全国模試でも強いのでしょうか。

あるいは、学校の課題や課外を減らし、生徒が自分で勉強できる時間が増えたことが関係しているのでしょうか。

まだ分かりません。

そして、マリストでは平均12点だった

第二高校の平均24点を調べていると、別の学校でも同じような現象が起きていました。

熊本マリスト学園です。

現在の高1数学。

平均12点。

高2でも、

平均20点。

しかもマリストでは、約1年前から定期テストが急激に難しくなったという話を複数の生徒から聞いています。

現在の高1には、

黄チャートだけでなく、青チャートまで配布されています。

しかし、どちらも授業では使用していないといいます。

ここで第二高校とは違う問題が出てきます。

第二高校は定期テスト平均24点でも、全国模試では学校全体がかなり強い。

ではマリストはどうなのでしょうか。

定期テストを難しくしたことで、全国模試の学力も上がっているのか。

実際の進研模試を調べると、かなり興味深い数字が出てきました。

そして、それは第二高校とは少し違いました。

次回はマリストに移ります。

次回

【第5話】数学平均12点

――マリストは、なぜ定期テストを難しくしたのか

全国偏差値60の生徒が、定期テストでは9点。

黄チャートと青チャートを配りながら、授業では使わない。

「難しい教育」と「難しいテスト」は、本当に同じものなのでしょうか。

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