【熊本からの大学受験】合格へのグランドデザイン②〜勝ち筋はどう見つけるのか〜【いろはにほへと:第45回】

​我が子だけのオーダーメイドの戦略を立てる、と言ったとき、多くの人は「うちの子は、コツコツ真面目なタイプだからこの勉強法」「地頭はいいけれどムラがあるタイプだからあの受験校」というように、何らかの「タイプ分類」に当てはめようとしがちだ。

​しかし、17年間現場で数え切れないほどの子どもたちと向き合ってきた経験から言えば、人間を血液型のように4つや5つのタイプに綺麗に分類することなど、到底不可能である。

​「内申点は高いが数学が極端に苦手で、家庭学習の習慣がまだない子」もいれば、「内申点は壊滅的だが英語だけは抜群にでき、塾の自習室には毎日残る子」もいる。

現実の子どもたちは、複数の要素が複雑に絡み合った、一括りにはできない存在だ。

​だからこそ、ここで私たちがやるべきことは、どこかの誰かが作った既存の「タイプ診断」に我が子を当てはめることではない。

​どんな状況からでも、我が子だけの「勝ち筋」を自ら導き出すための、4つの設計図(フレームワーク)を使いこなすことだ。

​■ 勝ち筋を導く、4つのステップ

​リビングの机の上に、これまでに集まった通知表や模試の成績表を広げてみてほしい。

他人が提示する一般論に我が子の可能性を委ねるのではなく、あなた自身が「我が家の戦略家」として、次の4つの問いを冷徹にデータに投げかけるのだ。

​【STEP 1】 武器は何か(強みの特定)

​最初に探すべきは、トータルの配点の中で「どこで確実に貯金を構築できるか」だ。

社会の得意教科かもしれないし、中1・中2で積み上げてきた「安定した内申点」という資産かもしれない。

まずは我が家が持っている最大の盾と矛を、数字で正確に把握する。

​【STEP 2】 致命傷は何か(リスクの特定)

​次に、合否を揺るがしかねない「最大の足を引っぱる要素」を直視する。

教科別の弱点だけでなく、「提出物の期限を守れない」「家ではどうしてもスマホに手が伸びる」といった、ルール違反や学習習慣のバグも含めて、どこで失点のリスクが出ているのかを炙り出す。

​【STEP 3】 残り時間は何か(リソースの把握)

​入試本番のゴングが鳴るまで、あと何ヶ月残されているか。

中3の通知表の評価対象となる定期テストは、あと何回あるのか。

時間が無限にあるかのような錯覚を捨て、残された時間という限られた資源をカウントする。

​【STEP 4】 どこを伸ばすと、最も「点数効率」が高いか(戦術の決定)

​これが戦略の核心だ。

多くの人は受験を「すべての弱点を完璧に克服するゲーム」だと勘違いしている。

しかし、限られた時間の中で戦う戦略家は違う。

すでに80点を取れている教科を90点にする10点の上乗せと、現在40点にとどまっている分野を徹底ハックして70点にする30点の上乗せでは、どちらが少ない時間でトータルスコアを大きく引き上げられるか。

受験とは、ただ過去を反省して弱点を埋める苦行ではない。

「残された時間と配点の中で、最も点数が増える場所を探し出すゲーム」なのだ。

​■ 主導権を我が家に取り戻す

​「熊高に受かる方法を教えてください」

「うちの点数で、本当に間に合いますか?」

​受験を前にして、そう周りに問いかけたくなる気持ちは非常によく分かる。

それは決して間違った問いではない。

我が子を想う親としての、ごく自然で、健全な焦燥感だ。

​多くの受験本は、限られた紙幅の中で最大公約数のアドバイスを提供しようとする。

それ自体は非常に有益なデータだ。

ただし、その最大公約数の答えが、そのまま目の前の我が子に当てはめられるとは限らない。

なぜなら、我が子が持っている武器も、今立っている現在地も、全員違うからだ。

​誰かが作った「既製品の正解」を探し回るのを、もうやめよう。

​熊高を目指す子であっても、他の高校を目指す子であっても、やるべき作業は共通している。

​自分の武器と弱点を、主観ではなく、徹底的に「数字のデータ」として把握すること。

そして、そのデータという冷徹な事実をベースにして、「我が家だけの登山ルート」を設計することだ。

​戦い方は、人によって違う。

だからこそ、受験は面白い。

この4つのステップを使って、我が家だけの勝ち筋の輪郭が見え始めた今、いよいよ私たちは、その「登山ルート」の具体的な測り方――志望校というゴールと、現在の我が子の距離をどう正確に測定するのか、という技術へと進むことにしよう。

​次回、

【合格へのグランドデザイン③】〜現在地とゴールの距離を測る〜

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