【1】高校生の皆さん、安易に衛星予備校を選んでいませんか?
地方在住の方は、有名な講師の授業を聞けるため、魅力的に感じているでしょう。
「これで、首都圏のライバルたちとも対等に渡り合える!!」「自分のペースで進める!!」「先取学習だってできる!!」と、ワクワクしていることでしょう。
しかし、その反面、デメリットもあります。
しかも、メリットを超えるデメリットです。
さて、どのようなデメリットでしょうか?
【2】まず、衛星授業の必要性です。
(1)東京大学合格者の8割が「受験でもっとも無駄だった投資」で衛星授業を挙げています。
衛星授業では、受けるかどうかは自分次第なので、どうしても足が遠のいてしまいます。
また、途中で眠ってしまうこともあるでしょう。
結局、受けていない授業を「観ること」が目標になり、頭には何も残りません。
「そうでない真面目な生徒さんには有効なのでは?」と思われる方もいるでしょう。
確かに、一部の優秀な生徒さんには有効なツールです。
とても分かりやすいので、教科書などを独学で読むよりも理解できます。
しかし、これが大きな落とし穴になることもあります。
(2)私の経験で恐縮ですが、弁護士を目指していたので、大学合格後にすぐに司法試験受験予備校に通い始めました。
東京だったので、生授業もありましたが、大半は衛星授業でした。
そこで、カリスマ講師の授業を聞くわけです。
とても分かりやすく、理解できます。
しかし、少しひねった問題が出されると、途端に分からなくなることがしばしばありました。
講師の説明が、あまりにも上手いので、分かった気になっていたのです。
本質が理解できてないので、その後の勉強には苦労しました。
もともと小中高と塾に通わず、独学で勉強していたので、司法試験もきちんと教科書を考えながら読んだ方が良かったです。
このころの私は、1日10時間ほど勉強していました。
その結果が、「なにも本質を分かっていない」ことでした。
真面目な生徒さんほど、何回も授業を聞いて、それを理解しようとします。
ただ、授業を聞く時間は、頭を能動的に動かしていないので、ある意味無駄な時間になっていることも意識してください。
【3】次に授業料の問題です。
(1)多くの予備校(衛星予備校以外も含む)では、割引をちらつかせて、年間一括払いをさせています。
そして、保護者の方は簡単に払ってしまいます。
これが取り返しのつかない失敗の始まりとも知らずに。
よく考えてみてください。
一括で申し込むということは、1年間その予備校から逃れられないことになるのです。
もし、予備校が合わなかったらどうしますか?
合理的なお考えのご家庭は、損切りしてでも他の勉強方法を探します。
しかし、一気に40~60万円払っていると、「せめて元を取らなければ!!」と考えるのが人間です。
成績が上がらないことを承知しながら、1年間が過ぎ去るのを待つでしょう。
私の経験上、転塾されてくる生徒さんも、年間契約が終わってこられる方が多いです。
今、同じ問題で悩んでいる生徒さん、保護者様がおられたら、私は言いたい、「お金は取り戻せますが、時間は取り戻せませんよ!!」と。
(2)そうは言っても、大学受験に対応している塾が少ないことも確かです。
小中学校で塾通いしていた生徒さんは、高校でも塾通いをしたがります。
それは、熊本高校の半数以上が、「〇〇進衛星予備校」に行っていることからも分かります。
クラスによっては、8割以上がこの予備校に通っているようです。
なぜこのような現象が起きているのでしょうか?
それは、中学時代に通っていた大手塾が関係しています。
皆さんも見かけたことはないでしょうか?
大手塾の看板とともに、「○○進衛星予備校」の看板が揚げられていますよね。
高校受験大手塾は、自力で大学受験を教える講師を集められないため、衛星予備校とタイアップしているわけです。
つまり、中学生の段階から衛星予備校への勧誘が始まっているわけです。
(3)先日、大手塾に通われていた生徒さんの話に、私は仰天してしまいました。
高校入試がまだ始まってもいない段階から、衛星予備校への勧誘は始まっており、授業料を前払いされた生徒さんには、生徒全員の前で、衛星予備校のスタッフが拍手を送り、表彰状みたいなものを渡していたということです。
「まるで、洗脳の様だった」と、その生徒さんは話してくれました。
四高に多くの生徒を合格させる大手塾ですので、熊本高校の半数以上がその予備校へ通っているのも納得です。
塾通いに慣れてしまっているので、「友達が入るなら私も」という気持ちになりますよね。
みんなが入るのであれば、負けたくないので入ってしまいますよ。
保護者様も、「高校に合格させてくれた大手塾が推しているので間違いない!!」と考えるのも当然です。
(4)また、衛星予備校の話ではないのですが、「教えない塾」で有名な大手予備校に通われていた生徒さんの話です。
その生徒さんは、その予備校に半年間通われていました。
参考書のルート学習で勉強を進める、徹底管理型の予備校です。
参考書の終わる時期などを細かく計画してくれて、強制力はあり、一見すると良さそうです。
私も、その塾には好感を持っていました。
しかし、その計画があまりにも膨大な量だったようで、定期的にあるチェックテストに合格するために勉強しているようなものだったと言っていました。
そして、もう一度勉強をやり直そうとすると、その分お金を払わなければいけなかったようです。
保護者の方も、「数十万もかけて、無駄な出費だった」とおっしゃっていました。
ここで、皆さんは、「その生徒さんが勉強をしなかっただけではないの?自己責任でしょう!!」と思われるかもしれません。
しかし、「ワカスク500」に入会されて1カ月、その生徒さんは「ターゲット英単語1900」をすべて覚え、「ポラリス英文法1」をどんどん理解しています。
いずれの教材も、その予備校が使っていた教材です。
入会されたときには、英単語は200語程度しか覚えておらず、英文法に関してはチンプンカンプンの状態でした。
どうですか?
これでもその生徒さんの勉強に対する姿勢が良くなかったと言えますか?
【4】とくに新高校1年生の生徒さん、その保護者の皆さん、高額な授業料を一括で払うことはやめましょう!!
体験授業を経て、じっくりと考えましょう。
塾を経営している私が言うことではないのですが、高校生は早く独学で勉強する力を身に着けてください。
そして、塾に過剰に依存することはそろそろやめましょう。自分の頭で考えて行動してください!!