ここまで、高校選びや合格後の安心、そして「真面目に頑張っているのに伸びない罠」についてお話ししてきた。
これまでの連載を読まれて、「じゃあ、一体どうすればいいの?」と不安を抱かれた保護者の方も少なくないかもしれない。
特に、進学校の過酷なカリキュラムの中で、驚くほどのスピードで成績を伸ばしていく子を見ると、多くの親はこう思いがちである。
「あの子は、元々の地頭が違うのだ」
「うちの子とは、持って生まれた才能が違う」
しかし、本当にそうだろうか。
塾の現場で、合格後に一度は順位を落としながらも、そこから爆発的に這い上がり、難関大へと合格していく生徒たちを何人も見届けてきた身として、はっきりと断言できる。
彼らが伸びた理由は、決して「生まれつきの才能」ではない。彼らは、ある一つの「決定的な能力」を身につけていたのだ。
今回は、才能神話を壊し、高校3年間で本当に伸びる子の共通点に迫りたい。
1. 「伸びる子」と「伸びない子」の決定的な対比
現場で見ていると、学力をグングン伸ばしていく子と、頑張っているのに停滞してしまう子の間には、日々の勉強の向き合い方に驚くほどの違いがある。
| 視点 | 頑張っているのに伸びない子 | 爆発的に伸びていく子 |
|---|---|---|
| 勉強の進め方 | 「分かったつもり」のまま先に進む | 「分かっていないこと」を発見する |
| 意識の置き所 | 「解けた問題」を見て安心する | 「解けなかった問題」を見て分析する |
| 自己管理 | 「勉強時間(量)」を管理する | 「理解度(質)」を管理する |
伸びない子は、問題集に○が増えることで安心し、×がつくと「ケアレスミスだから」「次は大丈夫」と目を背けてしまう。
一方で、伸びる子は全く逆だ。
彼らにとって「×(わからないこと)」を見つけることこそが、勉強のスタートなのである。
自分の理解不足を素直に認め、その弱点を発見することにこそ、最も多くの時間とエネルギーを割いているのだ。
2. 才能ではない。「自分を修正できる力」
彼らが持っている能力を集約するなら、それは能力の高さではない。
「自分を修正できる力」の高さである。
進学校で最後まで伸び続ける子は、最初から完璧に優秀だった天才ではない。
むしろ、高校のレベルの高さに圧倒され、最初のテストで手痛い失敗を経験する子も多い。
しかし、彼らはそこからが違う。
失敗したときに、過去のプライドややり方に固執しない。
「今の自分のやり方では通用しない」と現実を受け入れ、勉強法を変え、必要ならプライドを捨てて中学の基礎まで戻り、わからないところを素直に人に聞く。
大学受験という長く過酷な道のりにおいて、一度も壁にぶつからない生徒など存在しない。
重要なのは、壁にぶつかったときに「自分のOS(やり方)を、その都度新しく書き換えられるかどうか」なのだ。
才能は生まれつきのものだが、「自分を修正する力」は、意識と環境次第で後からいくらでも育てることができる。
だからこそ、今どんなに成績が低迷していても、我が子が「修正のOS」へと切り替えることができれば、未来はここからいくらでも変えられるのだ。
3. 次なる主役は「保護者」へ
「伸びる子は、自分を修正できる子だった」
この真実に気づいたとき、連載のバトンは子どもたちの手から、読者であるあなたーー保護者の手へと渡されることになる。
では、我が子をその「自分を修正できる子」へと育て、自走させるために、親はいったい何をすればいいのだろうか。
実は、多くの家庭が我が子を想い、よかれと思ってやっている日々の言葉かけやサポートこそが、皮肉にも子どもの自走を止め、修正する機会を奪ってしまっているケースが非常に多いのだ。
次回は、
【大学受験の思い込み編⑤】親のサポートが、子どもの成長を止めるとき
について、親としての「正しい見守り方と覚悟」の正体を考えてみたい。

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