働き始めて2週間ほどたったころでしょうか。支店長から会議室に呼び出され、そこに上司もいました。いきなり「解雇予告通知書」を渡され、仕事に対して改善が見られなければ今月いっぱいで解雇するとのこと。これも法律的に言えば、解雇予告は30日前にしなければならないんですけどね。とにかく、解雇されるのは嫌だったので、そのような通知を出された後も、黙々と仕事を続けていました。
支店長の年下の先輩へのパワハラは続いていました。私は支店長よりも歳が上だったので、殴る蹴るはされませんでした。ただ、「お前の顔を見ていると、ムカムカする」と何度も言われました。会計事務所でも同じようなことを言われていたので、「俺の顔って、人を不快にさせるのか?」など考えてしまいましたよ。何せ、それまでの人生で、そのようなことを言われたことがなかったもので。知らないうちに、何かふてぶてしいところがあったのかも知れませんね。しかし、フレンドリーに接してもダメ、黙々と働いてもダメならば、もう打つ手はないですよ。
そんな中、事件は起きます。いつものように年下の先輩にロックオンした支店長が、倉庫に先輩を引きずり込んだんですよね。その時、「黒木さん、誰か来ないか見ておいてください」と。中では殴る蹴るの暴行が行われているのに、私はその暴行の手助けをさせられたことになります。これは、法律を学んだ身として、いや、人間として自分が許せなかったですね。この日、会社を辞めることを決意しました。
翌日、退職願を出した後、「ここからは、行政書士として法律的なことを話します」と言い、朝の掃除・休憩時間を取らせなかったことを理由として、時間外労働賃金の請求書を出しました。これには支店長もびっくりしたようで、「回答は、少し待ってください」と。その夜、副社長から電話があり、「君は人と人との信頼関係をどう思ってるんだ!!こんなことをして許されると思ってるのか!!」とすごい剣幕で怒鳴られました。「いやいや、あんな職場に信頼関係なんかないですよ。なんなら労働基準監督署に行って、実態を話してもいいんですよ。大人なんだから、もう少し落ち着いてお話ししましょうよ」と冷静に言い返しました。それでも、「絶対に請求された金額は払わない!!」と息巻いていたので、「分かりました。それでは裁判ということで良いですね」と言って電話を切りました。ちなみに、裁判は本人がするのが原則で、絶対に弁護士を立てなければならないわけではないんですよね。
翌日の昼に、支店長から電話があって、職場に来てくださいと。行くと、支店長が頭を下げて、「今回はすみませんでした。ご請求額を全額支払わせていただきます」と。私はてっきり副社長も来て、話し合いをするのかと思っていたので拍子抜けでしたね。
そんなこんなで、葬儀社を退社することになりました。前の会計事務所を加えても、4か月に満たないサラリーマン生活でしたよ。これらの経験から、私は組織では働けない、会社不適合者なんだと実感しました。それとともに、「13万ぐらいだったら自分でも稼げるわ!!」と闘志がわいてきました。37歳年の瀬のことです。これから、行政書士事務所と塾経営の「自営業編」に入っていきます。