(1)前年に引き続き、各高校の現役大学合格者数について、独断と偏見で書こうと思います。
既卒生は、予備校で1年間勉強しますので、各高校の実際の合格者実績ではないと考えております。
(2)まず、国立大学合格者の表を見てください。
最初に何をお気づきになられるでしょうか?
熊本高校と済々黌高校の九州大学合格者数が、ほぼ同じです。
昨年の九州大学現役合格者数が、熊本高校52名・済々黌高校27名であったのが、今年は39名・36名になっております。
済々黌高校の頑張りもありますが、熊本高校の凋落ぶりがひどいです。
令和2年からの熊本高校の九州大学現役合格者数を見ると、30名・48名・30名・52名・39名となっております。
どんなに悪い年でも、済々黌高校には10名~20名の差をつけてきていました。
それが、今年はほぼ横並びです。
このため、私は「熊本から進学校は消えた」という記事を書いたわけです。
近年、大学入学共通テストの難化により、自己の目標とする点数よりも、当日の調子で大幅に点数を落とす生徒が続出しています。
そのため、九州大学よりもワンランク上の生徒が、九州大学におりてきていることが考えられます。
また、来年からは大学入学共通テストの内容が変わり、難しくなります。
そのため、熊本高校生も安全志向を取ったのかと思いました。
しかし、ふたを開けてみると、熊本大学合格者が、熊本高校62名、済々黌高校107名、熊本第二高校52名、熊本第一高校47名と、済々黌高校がダントツで、他の3校はほぼ横一線です。
どうやら安全志向を取ったわけではなさそうです。
次に、熊本高校の私立大学の現役合格者数を見ると、以下の通りです。
関西圏、とくに関関同立の合格者が前年の35名から85名に倍増しています。
熊本大学よりも、関関同立に進学した方が、大手企業に入れるため、賢い選択ですが。
それにしても、九州大学における合格者数の減少が気になります。
これにはもろもろの事情が重なっているようですが、後日熊本高校の特集記事を書きますので、そちらに譲るといたします。
さて、熊本第二高校・熊本第一高校の熊本大学合格者数は、近年急激に増えています。
特に熊本第一高校は、あと2年後には熊本第二高校を抜くのではないかと考えています。
数字だけから見ると、「熊本高校と変わらないのでは?」と思われるかもしれません。
これは、大学入試制度が近年急激に変わっているためです。
簡単に言えば、推薦入試の合格者が増えているためです。
約半数近くが、学校推薦入試で合格しています。
そのため、どの高校も一定程度の合格者が確保できるようになりました。
ただ、熊本高校も同様に推薦枠はあるはずなので、やはり一般入試での合格者数が減っているのかもしれません。
熊本北高校は、地道に頑張っていますが、東稜高校はもう救いようがありません。
自称進学校でもなくなりました。
ある中学校の進路指導の先生が、こう言ったそうです。
「熊本工業高校に行けない奴は、東稜高校に行け!!」と。
私立高校に関しても、あまりぱっとしないですね。
国府高校が、熊本大学に7名合格させているのが、注目に値します。
あとの私立高校は、何の企業努力もしていないように感じます。
真和高校が、私立の医科大・歯科大に強い特色があるだけで、あとの高校は、何の特色もありません。
ただ、ワカスクとしては、先取学習をしていますので、課外・課題が緩い学校をお勧めしています。
ズバリ、東稜高校とマリスト学園高校です。
(3)次に、私立大学の現役合格者数について考察します。
近年の大学入学共通テストの難化、また、来年から始まる新課程での大学入学共通テストの開始を受けて、今年は例年にも増して現役合格にこだわったご家庭が多かったのではないでしょうか。
熊本高校においても、「早慶上理」(早稲田・慶応・上智・理科大)の合格者数が、昨年の22名から29名に増えています。
また、「ⅯARCH」(明治・青山学院・立教・中央・法政)は、28名から34名、「関関同立」(関西・関西学院・同志社・立命館)に関しては、なんと35名から85名に急増しています。
ここまでの大学群が、大企業に就職できる可能性があります。
そのため、3つの大学群の総計は、85名から148名に増えています。
これに対して、済々黌高校は、3つの大学群の総計が、85名から73名に下がっており、その分地元志向で熊本大学の人数が増えたのだと思います。
熊本第二高校以下の高校は、この大学群においては、歯が立たない状況です。
とくに驚いたのが、今まで私立大学を目の敵にしていた熊本第二高校が、HPで有名私立大学合格を高らかと発表していたことです。
それだけ、国公立大学の合格が難しくなったということでしょう。
旧態依然としていた熊本県でも、やっと私立大学の価値が認知されてきたと思います。
私立大学は、推薦入試枠が6割、一般入試枠が4割と、年内の合格者獲得に傾いています。
少子化の影響でしょうが、そのように考えると、熊本学園大学付属高校のように、指定校推薦の枠を多く持っている私立高校に行く方が賢明かもしれません。
(4)最後に、公立大学の現役合格者数の表です。
熊本県立大学の合格者数が、熊本第二高校・熊本第一高校で頂点に来ています。
このレベル帯の高校では、大学入学共通テストの難化に伴い、熊本大学に届かない受験生が狙ってくるでしょう。
そのような意味では、今までよりも熊本県立大学の合格が難しくなることが考えられます。
物価高の影響もあるでしょうが、以前は人気が高かった東京都立大学への合格者が、熊本高校・済々黌高校でほとんどいません。
私立大学でも見られた傾向ですが、今は関西圏が熱いです。
私も立命館大学ロースクールに通いましたが、東京との物価の差に驚きました。
2大学が統合された大阪公立大学の人気が高まるような気がします。
(5)今後の予測
新課程での大学入学共通テストが仮に難化したとすれば、ますます共通テスト離れが激しくなり、上記3つの私立大学群の競争が激化するでしょう。
受験生の学力レベルが極端に二極化している現在、企業も上位の大学から取っていく可能性があります。
つまり、学歴フィルターが顕著になるでしょう。
年収1000万円の安定した大企業へ就職したいのであれば、卒業生の多い大学へ進学するのが一番です。
私は、10年前から言っていますが、なかなか地方では浸透しませんね。
3科目入試ならば、高校から本格的に勉強しても合格は可能です。
人生を逆転させる、1回目のチャンスです。
また、理系人気が高まっており、「理高文低」となっています。
猫も杓子も、理系、理系です。
しかし、ブームは去るもので、将来は文系の職業が人気になるかもしれません。
文系職はAIに取って代わられるので、仕事のある理系職についた方が良いという考えなのでしょう。
しかし、私は文系職の方が、AIにはできないことが多いと感じています。
さらに、理系人気が高い今、国立大学へ合格するのはかなり難しくなり、共通テストを避けて、「四工大」(芝浦・工学院・東京都市・東京電機)を目指す受験生が多くなるかもしれません。
これらの大学は、国立大学よりも負担は軽いのに、東京大学などの難関国立大学との生涯年収が変わりません。
推薦入試も加わり、大学受験は情報戦になっています。
選択肢を広げるためには、先取学習が有効です。
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