【教育実験レポート】「空気」は本当に学習習慣を変えるのか【第10週】

自習室の入退室を、毎日すべて記録する。

誰が何時に来て、何時に帰ったのか。

それを1週間ごとに集計していく。

始めた理由は単純である。

「勉強する空気」は、本当に生徒の行動を変えるのか。

塾ではよく、

「周りが勉強しているから、自分も勉強するようになった」

と言われる。

しかし、それは本当なのか。

雰囲気や印象ではなく、数字で確認してみたい。

この記録も、今回で10週目になった。

そして今週、かなり面白い数字が出た。

10週目 9月13日(日)〜9月19日(土)

まず、今週の記録をすべて載せる。

なお、ここで記録しているのは自習室の滞在時間である。

途中の休憩なども含まれているため、純粋な勉強時間と完全に一致するものではない。

それでも、「塾に来て勉強する環境の中に何時間いたのか」を見る数字としては意味があると思っている。

9月13日(日)

高2 サ 10:07〜14:34 4時間27分

高3 ウ 10:07〜14:30 4時間23分

中2 B 10:42〜15:32 4時間00分

※途中50分退出

高1 ク 10:42〜15:32 4時間00分

※途中50分退出

高1 コ 10:00〜13:58 3時間58分

中2 C 10:00〜13:03 3時間03分

高2 ケ 13:03〜16:00 2時間57分

高2 オ 14:20〜16:00 1時間40分

高3 イ 15:09〜16:00 51分

合計 30時間19分

日曜日だけで30時間を超えた。

誰か一人が長時間勉強して数字を作っているのではない。

9人が来て、そのうち6人が3時間以上滞在している。

ここが大きい。

9月14日(月)

高3 ウ 10:39〜20:00 9時間21分

高1 コ 17:20〜20:00 2時間40分

高2 エ 17:20〜20:00 2時間40分

中2 A 17:10〜19:10 2時間00分

中2 C 18:14〜20:00 1時間46分

高2 サ 18:14〜20:00 1時間46分

高2 シ 19:10〜20:00 50分

高2 ケ 19:10〜20:00 50分

合計 21時間53分

この日は高3ウが9時間21分。

平日の数字としてはかなり大きい。

しかし、それ以外にも7人が来ている。

長時間滞在する生徒がいて、その横で別の生徒たちも勉強する。

自習室を作ったときに期待していたのは、まさにこういう状態だった。

9月15日(火)

高3 イ 17:20〜20:00 2時間40分

中2 C 17:20〜20:00 2時間40分

高1 ク 17:44〜20:00 2時間16分

中2 B 17:44〜20:00 2時間16分

中2 A 17:10〜19:05 1時間55分

中2 G 18:14〜20:00 1時間46分

高2 オ 18:25〜20:00 1時間35分

高2 サ 19:31〜20:00 29分

合計 15時間37分

火曜日は15時間37分。

日曜日や月曜日と比べれば少ない。

それでも8人が自習室を利用している。

平日に「2時間前後」が普通になってくると、1週間ではかなり大きな差になる。

9月16日(水)

中2 C 17:09〜20:00 2時間51分

高1 コ 17:30〜20:00 2時間30分

高3 ウ 17:36〜20:00 2時間24分

高2 カ 17:36〜20:00 2時間24分

高1 ク 17:39〜20:00 2時間21分

中2 B 17:39〜20:00 2時間21分

高2 ケ 17:51〜20:00 2時間09分

中2 A 17:09〜19:10 2時間01分

高3 イ 18:24〜20:00 1時間36分

高2 オ 18:33〜20:00 1時間27分

高2 キ 18:58〜20:00 1時間02分

合計 23時間06分

11人。

この日の数字はかなり象徴的だと思う。

突出した5時間、6時間という生徒はいない。

それでも合計は23時間を超えた。

つまり、大勢が2時間前後勉強することで作られた23時間である。

自習室全体の習慣を見るなら、こういう日のほうが興味深い。

9月17日(木)

高3 ウ 17:20〜20:00 2時間40分

中2 C 17:32〜20:00 2時間28分

高2 カ 17:47〜20:00 2時間13分

中2 A 17:14〜19:25 2時間11分

高2 オ 17:49〜20:00 2時間11分

高2 ケ 17:49〜20:00 2時間11分

中2 B 17:42〜19:40 1時間58分

高2 シ 18:06〜20:00 1時間54分

高2 エ 18:48〜20:00 1時間12分

合計 18時間58分

この日も9人。

2時間前後の滞在が並ぶ。

特別なイベントではない。

普通の木曜日である。

9月18日(金)

高1 コ 16:10〜19:00 2時間50分

中2 A 17:04〜19:12 2時間08分

中2 C 17:42〜19:40 1時間58分

高1 ク 17:48〜19:43 1時間55分

中2 B 17:48〜19:43 1時間55分

高3 ウ 18:15〜20:00 1時間45分

中2 G 18:24〜20:00 1時間36分

高2 オ 17:50〜19:22 1時間32分

高2 ケ 17:50〜19:22 1時間32分

高2 サ 18:51〜20:00 1時間09分

合計 18時間20分

10人が利用。

ここまで来ると、「今日は誰が来るだろう」というより、夕方になると自然に生徒が集まってくる状態に近づいている。

9月19日(土)

高3 ウ 10:47〜12:30/13:00〜17:00 5時間43分

中2 G 13:20〜17:00 3時間40分

高2 ケ 13:46〜17:00 3時間14分

高2 オ 13:50〜17:00 3時間10分

高2 カ 14:29〜17:00 2時間31分

高1 ク 13:00〜15:00 2時間00分

中2 B 13:00〜15:00 2時間00分

中2 A 13:00〜15:00 2時間00分

中2 C 10:04〜11:20 1時間16分

合計 25時間34分

土曜日は25時間34分。

高3だけではない。

高校2年、高校1年、中学2年が混ざっている。

学年を超えて同じ場所で勉強していることも、自習室の「空気」を考えるうえでは重要なのかもしれない。

1週間の合計は153時間47分

今週の1日ごとの合計を並べる。

9月13日(日) 30時間19分

9月14日(月) 21時間53分

9月15日(火) 15時間37分

9月16日(水) 23時間06分

9月17日(木) 18時間58分

9月18日(金) 18時間20分

9月19日(土) 25時間34分

週間合計 153時間47分

そして、ここからが面白い。

前週、9月6日〜12日の合計は、

153時間44分

だった。

今週は、

153時間47分

差は、

わずか3分。

2週間で「3分」しか違わない

これは狙って作れる数字ではない。

先週と今週では、誰が何時間勉強したかも違う。

曜日ごとの人数も違う。

学校生活もある。

それなのに、

先週 153時間44分

今週 153時間47分

となった。

もちろん、2週間だけを見て「153時間台で安定した」と断定することはできない。

偶然の可能性も十分ある。

ただ、これまでの数字を並べると少し見え方が変わってくる。

8月16日〜22日 140時間13分

8月23日〜29日 160時間32分

8月30日〜9月5日 144時間39分

9月6日〜12日 153時間44分

9月13日〜19日 153時間47分

5週間。

上下はある。

しかし、最初の週だけが偶然多かった、という動きではない。

学校が始まってからも、150時間前後の滞在が続いている。

日曜日だけ頑張っているわけではない

今週の日曜日は30時間19分だった。

日曜日の学習ルームが大きな役割を果たしているのは間違いない。

しかし、週間153時間47分のうち日曜日を除いても、

123時間28分

ある。

月曜日から土曜日だけで120時間を超えている。

さらに、水曜日は11人で23時間06分。

木曜日は9人で18時間58分。

金曜日は10人で18時間20分。

つまり、週末に一気に稼いでいるだけではない。

普通の学校生活の中に、自習室へ来る行動が入り始めている。

ここは今後も追っていきたい。

中学2年生の動きが面白い

この記録を始めてから、特に注目しているのが中学2年生である。

今週もA、B、C、Gが何度も自習室に来ている。

中学生の場合、高校3年生の受験生とは事情が違う。

大学受験が数か月後に迫っているわけではない。

それでも、

学校が終わる。

塾へ来る。

自分の教材を開く。

2時間ほど勉強する。

帰る。

この流れが繰り返されている。

特にCは、先週まで2週連続7日間自習室に来ていた。

今週も、

日曜 3時間03分

月曜 1時間46分

火曜 2時間40分

水曜 2時間51分

木曜 2時間28分

金曜 1時間58分

土曜 1時間16分

と、3週連続で7日間来た。

今週だけで16時間02分。

中学2年生である。

「勉強しなさい」と言われて一度長時間勉強することよりも、毎日自分から来る状態のほうが、私ははるかに興味深い。

「長時間勉強する生徒」だけの話ではなくなってきた

この実験を始めた当初は、長時間滞在する数人によって全体の数字が大きくなる可能性も考えていた。

実際、高3の受験生などは長時間になる。

今週も月曜日にはウが9時間21分滞在している。

しかし、水曜日を見ると違う。

11人が来て、合計23時間06分。

最長でも2時間51分である。

一人が8時間、9時間勉強したから23時間になったのではない。

11人が少しずつ積み上げて23時間になった。

こちらのほうが、「空気」というテーマを考えるうえでは重要かもしれない。

「勉強するのが普通」の場所になればどうなるのか

私は基本的に、生徒の横についてずっと教えることはしない。

教材を決める。

生徒が読む。

解く。

間違える。

解説を読む。

もう一度解く。

それを繰り返す。

だからこそ、自習できるかどうかは大きい。

先生がいなければ勉強できない状態では、勉強量には限界がある。

一方、

塾に来たら、自分で教材を開いて勉強する。

これが当たり前になれば、状況は大きく変わる。

そして、その「当たり前」は、先生が何度も注意することだけで作られるものではないのかもしれない。

横を見れば誰かが勉強している。

先に来ている生徒がいる。

あとから別の生徒が入ってくる。

誰も騒がず、それぞれが自分の教材を進めている。

その環境そのものが、生徒の行動に影響する可能性がある。

ただし、まだ結論は出さない

ここは重要である。

5週間の記録だけで、

「自習室の空気によって生徒の学習習慣が変わった」

と断定することはできない。

定期テスト、模試、受験、学校行事などでも学習時間は変わる。

もともとよく勉強する生徒が集まっている可能性もある。

そして今回記録しているのは、あくまで滞在時間であって、純粋な学習時間そのものではない。

だから、まだ結論は出さない。

ただし、一つだけ確かなことがある。

5週間、自習室の数字を取り続けたことで、

「最近みんな勉強するようになった気がする」

ではなく、

実際に何人が来て、何時間滞在したのか

を数字で話せるようになった。

これは大きい。

来週も全部記録する

先週、153時間44分。

今週、153時間47分。

その差、わずか3分。

これは安定なのか。

偶然なのか。

来週、再び150時間を超えるのか。

それとも大きく落ちるのか。

さらに重要なのは、総時間だけではない。

毎日来る生徒は増えるのか。

中学生の習慣は続くのか。

高校生は学校生活と両立しながらどれだけ来るのか。

そして、この滞在時間の積み重ねが、数か月後の成績にどう表れるのか。

まだ分からない。

だから来週も、全員の入室時刻と退出時刻を記録する。

印象ではなく、数字で追う。

これが、この教育実験の目的である。

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